債務整理するときの債務者の方も謀略を使うことがある。
人のよいことは言ってられない。
債務者の謀略は履行すべき義務を履行しないためのものであり、不正の謀略である。だが、債権
者の弱い心理を突いてくるから、思いのほか効果を生じる。
そこへ債権者が、 債務整理の謀略的発想なしに飛び込んだらどうなるか。
ある六五、六歳の元大学教授であった。これが当時で1OO万円ばかりの金を貸した犬「では貨幣価値が変わり、1O倍以上にもなる額である)。
甘い口車に乗ったのだが、貸したときのことは省略しよう。
さて、この金が返ってこない。
約束が違う、と最初はカンカンに怒っていたが、日が経つにつれて不安になってきた。
感情よりも勘定が大事、という心境になるわけだ。
どうでもいいから、金が返りさえすれば、裸踊りでもしてみせる。
債務者の方はもともと役者が一枚上手だ。
急に 債務整理するときの債権者を絶望させてはならないということを知っている。
平謝りに謝った上で、手違いで返済できなくなったが、別の件で近日入金するから、そのときに
必ずお返しする、と希望を持たせてくる。
これで時間を稼いだ上に、返金のメドを「別の件」の成否にすり替えて、相手をからかう材料を
作っている。
一つの布石である。
